MBにボアアップキットを組み込むのって簡単?、ってお話を幾つかいただいた。
それではと、参考用に以前Airsalキットを組み込んだ時の細かい所を思い出して備忘的に書いて
おく事にします。
備忘録になってないかもしれないけどw。
あ、MBのエンジンじゃなくて空冷MTX50のエンジンなんで、何処かは少し違うかも。
*前提*
MBも35年も前の車両ですので、エンジン回りのボルトナットの外してない物は固着してたり痛ん
でたりする可能性が高い。
各ボルトナットの外しの一発目は、CRCなどを必ず吹きかけて、それなりにまっとうな工具で。
MBとMTXの2基のエンジンの腰上を開けましたが、どちらもネジが崩れたりなめたり齧ったりする
ことなく、破壊工具を使わないで開け閉めができました。
見た目が錆び錆びグズグズになってない、比較的最近まで動いてそうなエンジンではありまし
たが。
エキゾーストのスタッドだけは、流石にどちらもナットに齧ったまま抜けてきました。
昔のホンダの部品は良いんだよな。
まぁ車体ごとのコンディションの違いも大きいとは思います。
海辺の塩っ気に晒されてたとか、屋外雨ざらし放置10年とかじゃまた違うからね。
ボアアップキットは2st空冷の原付用のキットなので、ぶっちゃけ数か所ボルトナットを外してヘッ
ドやシリンダー、ピストンを外して、新しいのをその逆に組むだけ。
ただ流石にヨーロッパ製なので、バリとかネジ穴のずれとか付属品とか怪しい場合は多々あると
思います。
前に買ったDMPのキットは組むのは問題なく出来たけど、シリンダーフィンのバリはキャスト時の
物がそのままで、それを取らずに黒塗装がされてたりしましたし、EXポートの切削バリがわりと大
きかったです。
あげくに最後はピストンに大穴w。
出来はキタコ等の国内メーカーのキット程じゃないと思ってた方が無難です。
一般的なピストン、シリンダー交換やキット組み込みの部分はネットにある物等を適当に参照し
て下さい。
MBのサービスマニュアルがあれば足りると思いますが。
MBでAirsalを組んだ時の情報で、まとめておきます。
でもまぁ、新しいバイクなら弄るのに心配は要りませんが、古いバイクになると通常整備より旧車
弄り要素が多くもなりますので、そんなところも書いておきます。
つたない整備なんで詳しい人が見るとツッコミどころも多いかもしれませんが、ご容赦願います。
通常整備や旧車弄りでは当たり前だろ、って事も書いてますが、それもご容赦。
あきらかにそれは間違ってるとか不足してるだろって所があったら、そっと教えて下さいw。
後でそっと直しますからw。
前提が長いわ。
*エンジン横*
シリンダー外しやキャブを弄る時には、エンジン横のタコケーブルの取り出し口、クラッチワイヤ
ーホルダーのボルトを外してワイヤーも抜き、エンジン前方に回した方が作業しやすいです。
オイルポンプワイヤーのホルダーも、下側の8㎜のボルトを2本を抜いて後ろに避ける方が手間
なし。
ホルダ下部でインマニのオイルニップルに向かうオイルチューブを保持してるので、インマニのチ
ューブが抜けっぱなしにならない様に注意。
オイルチューブを外して中身が垂れっぱなしになったら、後の始動時にオイル経路のエア抜き要。
*シリンダーヘッド、シリンダー*
エキパイ取り付けのスタッドボルトのナットやシリンダーヘッドのナットは、焼けて錆てで痛んでい
たり固着気味だったりで、回ってもナットだけじゃなくスタッドボルトごと抜ける可能性があるので
注意。
エキパイのスタッドボルト抜けは、普通のボルトに交換して使ったりしても特に問題ないけれど、
シリンダー側のスタッドボルトが抜けてネジ穴がボケたり、スタッドボルトが折れたりするとかなり
面倒です。
メス側がアルミの所は要注意です。
私はエキパイのスタッドは面倒なんで普通の六角ボルトに変えてしまってます。
シリンダースタッドボルトはまだ入手可能なのかな?。
ナットが外れてクランクケースにスタッドボルトが残って、特に問題が無ければネジ山掃除して再
使用。
駄目になってそうなら、NAPSなどで同サイズの物が売っていれば転用、無ければ長さや径、ピッ
チが近い物で作成が必要。
ナットが固着したまま抜けてきたスタッドボルトでそのまま組み直しをすると、たぶん締め付けト
ルクがちゃんと出なかったり、締めすぎをやるとアルミのクランクケース側ネジ穴がやられます。
ナットが付いたままスタッドが抜けてきたら、ちゃんとナットは外してネジ山掃除が必要。
部品があれば新品に交換した方が良いんだけど。
スタッドボルトが途中で折れた場合、外してやるのと新しいボルトが必要。
シリンダーやクランクケースの中で折れた場合、リコイルするなりの補修が必要になります。
それだとかなり大ごとです。
MBでは、以前リアサスのダンパーロッドをねじ切ってリコイルやる羽目になった。
これは劣化とかじゃなく、単純に私のミスでねじ切っただけなんだがw。
シリンダーヘッドは上部のナット4つ、フレーム固定のボルトナット1つを外すと簡単に外れます。
ヘッドガスケットが張り付いて剥がれない場合、木材やプラハンなどの柔らかい物を使ってコツコ
ツ外します。
*インマニ*
シリンダーを外すには、マフラーの外しとインマニの外しが必要。
マフラーは先に書いたエキパイの部分とステップ後ろのボルトで外れる。
インマニは、シリンダー後方のインマニ固定のの4本の8㎜ボルトを外せば外れます。
ただし、バイクに跨って左側の下側のボルトはオイルニップルが邪魔して凄く外し難いです。
ここを外す前に、事前にキャブ側の繋ぎのナット2つも緩めておくのが吉。
Airsalのキットのシリンダーとインマニの仮組みをしないで組んだらネジ穴が合わず、結局インマ
ニも外して調整したりしたから。
ここが外れてシリンダーヘッドが外れていれば、インマニとキャブを後方上に押し込んであげて
やればシリンダーも抜けます。
ベースガスケットが張り付いて剥がれない場合、木材やプラハンなどを使ってコツコツ外します。
*ボアアップの事前準備*
ガスケット。
開けてないエンジンの場合、シリンダーのベースとインマニの元の紙ガスケットは高確率で破れ
て再使用できなくなります。
あ、ガスケットはヤフオクなどでも入手しやすいので古いのを再使用とかあまり考えないで、駄目
なら新しいのに常に交換でいきましょう。
ボアアップキットに含まれてるガスケット類は使う前にコピー機でコピーして、後々厚さ調整用に
ガスケットシートで自作したりし易い型紙を作っておくと良いです。
液ガス。
ボアアップキットのエキゾーストガスケットとかヘッドガスケットとか、場合によっては物が悪かった
りするので液体ガスケットもあると便利です。
というか使いましょう。
うちのAirsalのキットでは、アルミのヘッドガスケットの箱詰めが悪くて折れ曲がってました。
スプレータイプは薄く均一に綺麗に塗れるので好きです。
*キットのチェックと仮組み*
キットの確認。
キャストや切削のバリがあったら軽くペーパーなどで落とすとか削るとかします。
特にシリンダーのポートの内側にはみ出る様なもの。
アルミにニカジルのメッキシリンダーなんで、シリンダー内壁のメッキが欠ける様な事をしない様
に要注意。
バリ取りが欲かいてポート拡大作業になっていってしまうと、メッキシリンダーはこれが危ないそ
うな。
マメな人はピストンのインアウト側の裾部分をペーパーがけとかかな。
インアウトのスカート下部ですが、組んで走って開けてみても特にアタリはきつくなかったです。
ピストンリング。
Airsalのは、エキスパンダ無しの1本リングで長方形断面の上下区別マークが無いタイプです。
ピストン。
ヘッド上のピストン方向マークに要注意。
ノーマルMBのピストンはホンダタイプで、ピストンマークはキャブ側を向いてます。
Airsalのピストンは一般タイプで、マークはエキゾースト側に向いてます。
スカートの穴もノーマルはないけどキットにはあります。
それの向きで間違えないとは思いますが。
シリンダとインマニの仮組み。
私が組んだ時、これを失敗してしまいました。
インマニはキャブに付けたまま、新しいシリンダーを被せてインマニを付けようとしたら、リードバ
ルブホルダの穴とずれててネジがかかりませんでしたw。
先にインマニとシリンダーを仮組みして、ネジが掛かるか要確認です。
まったく合わなくて、リードバルブベースとインマニのネジが通る穴をやすりで長穴に拡大してイ
ンマニが付く様に修正しました。
*キットの組み込み*
この辺はあれこれありますが、ネットやマニュアルに載ってるピストン交換やボアアップキット組
み込みの手順を見た方が良いです。
肝は、クランク室の穴には綺麗なウエスなどを詰めてピストンピンクリップが落ちて入ったりしな
いようにとか、シリンダーをピストンに入れる時にはオイルを塗ってリングも折らない様に縮めて
気を付けてとか。
面倒なのはガスケット掃除と合わせ面。
ベースの紙ガスケットは張り付いて破れてで、ガスケット剥がしが面倒だと思います。
ガスケットリムーバーなどを使う場合、下手に液がケースの塗装部分に掛かると塗装もやられる
事があります。
スクレーバーを使う場合でも、カスがクランク内に入らない様にご注意。
新しいベースガスケットに付け替える時、ガスケットにオイルを染み込ませておくと、次に開けた
時にも張り付かずに綺麗に剥がれて再使用できたりします。
あ、キット付属のベースガスケットは内側に余分なはみ出しがあります。
不要な部分は切って使います。
ピストンピンクリップが外せないとかピストンピンが抜けないとか色々あるかもしれません。
ピンクリップはピストンの切り欠き部にピンの端を出す様にして、千枚通しなどで外側をひっかけ
て内側手前に押し出せば外せます。
ピンは焼けたピンだと叩き出さないと抜けなかったりします。
サイズの合うピンポンチなどを使うと叩き出しが楽です。
キット付属のピンクリップはG型タイプで、内側の掴み部分を細いラジオペンチで掴んで入れ易い
です。
シリンダーを組む時、ピストンが一本リングなので組み込みが楽です。
後は、ヘッドを載せて軽く組んで、キックでセンター出し、指定トルクのトルクレンチでヘッドのボル
トの締め付け、ヘッドのマウントの取り付けをしてキットの組みは完了。
ヘッドのマウントのボルトの通りが悪い場合、フレーム側マウント2か所を緩めて少し動かすと入
りやすくなります。
後はインマニやマフラーのの付け直し、オイルポンプワイヤーホルダー、クラッチやタコケーブル
の戻しをして完了です。
*後処理と確認*
オイルチューブを外した場合、念のためマニュアル指定のエア抜きをしておいた方が良いです。
ポンプ側ボルト弛めのエア抜きはしなくて良いかもしれませんが、チューブ内のオイルが全部抜け
てるとオイルがくるまでが結構長いです。
ボアアップ対応のオイルポンプ調整は、ポンプ全開マークの合わせから3㎜程度余計に開ける
様に調整して乗ってます。
ポンプのヘタリ具合や使用オイルでも違ってくると思うので要注意。
慣らし中は、タンクの方も5%位の混合にして乗ってました。
キャブに関しては、私はチャンバーとCRM80用キャブを使ってしまってるので敢えて書きません。
キャブ、マフラーはノーマルでボアアップキットを組むだけなら、たぶんメインジェットは#115位か
らスタートして下げて調整でいけるんじゃないかと思いますが、責任はもてません。
京浜丸大のメインジェットセットは、NSR50用のPOSHやデイトナなどのセットで最大#130位まであ
ると思います。
エンジンが始動した後は、外したキャブ周りの二次エア吸い確認や排気漏れ確認もします。
エアクリーナー側、インマニの繋ぎなどの二次エア、マフラーとシリンダー接続、ヘッドガスケット
の抜け等。
あ、そうだ、インマニのガスケットや排気のガスケットもAirsalのキットには含まれてます。
DMPのキットではガスケット類は入っていませんでした。
ちょっと圧縮が高い印象なので、心配な感じがしたらベースガスケットを2枚にして少し圧縮を下
げる方向でも良いかもしれません。
この場合、ベースガスケットは1枚しか入ってないので自作するか別のガスケットセ
ットを買っておくかが必要になります。
こんなもんですかね。
適当に撮っておいた写真で間に合わせになってしまっててすいません。
*AIRSALの性能*
以前はPromaのチャンバー+DMP65㏄+ノーマルキャブ。
今はProma+AIRSAL65㏄+CRM80キャブ。
他にノーマルエンジンにPromaのチャンバー+ノーマルキャブも少ししてて、それらの比較した感
じも書いておきます。
Chobiさんのマロッシ65㏄+HOMESTのチャンバー+NSR50?キャブにも乗せて貰いましたの
で、それらも交えての印象も。
楽天でAIRSALキットを販売している所のレビューにもありましたが、ポートが大人しくて高回転で
スコーンと伸びるタイプではありません。
レビューでは糞づまりとまで書いてあったかもw。
ちゃんと測ってはいないですが、ポート位置低めで幅も少なく、排気ポートの上部形状なども丸
いです。
ただ、付属のヘッドガスケットとノーマル50㏄のヘッドを装着していると圧縮は高めな印象で、大
人しめなポートと合わせて下からかなりトルクがあって、ノーマル
50㏄の6000rpm前のトルクの薄さや谷なども消え、下からトルクがあって上はそれほど回らない
オフ車のエンジン風な印象です。
この状態でChobiさんのマロッシと乗り比べましたが、マロッシはトルクは薄めだけど軽く回って、
上でパワーが出て高回転まで綺麗に回る感じでした。
逆にAIRSALは回り方が荒々しく回転の上りが重めで鈍い。
7000rpm前後のばらつきもあって、これはチャンバーとのセットでの可能性が高い。
DMPキットの時にもあったし。
ばらつきが気になってヘッドガスケットを2枚にして下妻ミーティングに参加しましたが、ばらつき
もかなり収まって混んだ街中や流れの良い道を走る分にはかなり快適でした。
ノーマル50㏄より中低速のトルクがあって癖が無くてで。
ただパワー感はだいぶ薄れて上がさらに回らない印象。
ノーマル50㏄より最高速は出なさそうな。
これは実際に感じましたが、下妻での食事からの道の駅への戻りの時、8エンジン車やマロッ
シ、ウルフ50のノーマルなど、全部においていかれるような状態でした。
まだ低い速度からの加速は兎も角、最高速はまったく話にならない。
やはり圧縮下げ過ぎでは話になりませんね。
まだまだ続けてセッティングしていきます。