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2014年10月28日火曜日

MB50の腰上点検

前の続きでそんな話をいただいたもので、もう少し細かいところのまとめも。

ヘッドを外すと、付ける時にトルクレンチが必要になります。
ホムセンで売ってる安い物でも案外精度が出てたりしますが、そんな物を使う場合はなるべくな
ら校正されてるまっとうなレンチと同トルクで締めを試して、差が無いのを確認した方が良いと思
います。
ホムセン物でなくても、アストロプロダクツやワールドインポートツールなんかだと、確か安いので
も買う時にチェックしてくれたりしたかも。
最近はストレートなどでも、ラチェットレンチで使えるデジタルトルクレンチのアダプタが安く売って
たりします。

http://item.rakuten.co.jp/auc-straight/15-9100/

シリンダーヘットやシリンダー回りだと、エキパイのボルト外しがたぶん一番面倒。
簡単に回ってもスタッドボルトごと抜けたりするので、面倒なら同サイズで長すぎない普通のボル
トにしてしまった方が楽です。
インマニのボルトも、跨って左の下側のボルトはかなり付け外しが面倒です。
ネジ系は古いバイクの場合はケースバイケースが多すぎるので、痛んでる物の回し方やなめた
時や折れた時の対処は、レストアやポンコツ弄りをしてる様なサイトの詳しい情報などを参照し
て下さい。
ここがそもそもポンコツ弄りばっかりだろって話もありますがw。

シリンダーを抜く時には、インマニやキャブを後ろに少し押し込んでシリンダーを上に抜きます
が、エアクリーナーとキャブの接続が硬化してたりするのでご注意。
古いバイクだとヒビが入ってたり割れてたりすることもあって、動かした時に穴が空いたりもする
ので、そのまま気が付かないで組みなおすと二次エアを吸って薄くなって焼き付きをおこしたりも
します。
パックリ酷く割れたりしない限り、信越シリコンのKE45なんて補修材で補修も可能です。
この辺はばらす時に要点検です。

シリンダーを外すと、シリンダー下のベースガスケットやインマニのガスケットは破れて簡単に剥
がれなかったりするので、ここの掃除の手間がかかります。
ガスケット剥がしや面だしなどの情報は色々あると思うのでWebなどを参考にしてください。
ま、紙のガスケットの部分ですし、それほど完璧に綺麗にしなくても紙の柔らかさでシールされ
ます。
ヘッドガスケット側は綺麗にして液ガスケットを塗って使い直しで結構いけますが、痛んでそうで
新品のガスケットがあったら交換した方が良いです。




ピストンの状態は、35年近く前のバイクなんで、概ねリングがへたって張りが無くなってて、ガス
がリング下まで吹き抜けてる跡がピストンに茶色く残ってると思います。
うちのMBとMTXのエンジンはどちらも抜けてました。
この状態だと空ぶかしでは一見エンジンは軽く回って調子が良さそうに感じたりしますが、圧縮
が抜け気味でトルクが無くて坂を登る時に力が無いとか、夏場に熱ダレしてパワーが無くなったりが目立ったりします。



 
この抜けがまったくなさそうだったらピストンリングの状態が良いかもです。
抜けててもパワーが無くて直ぐに壊れたりしませんけど、抜けてるのを見ると新品のピストンやリ
ングに交換したくなります。
リングを外して掃除して組みなおしても、へたったリングは回復しません。
これを見るとボアアップキットが欲しくなりますw。

ヘッドの燃焼室やピストンヘッドはそれなりにカーボンがたまってると思いますが、先日の塗装剥
がし剤でも結構カーボンが落ちますので、しつこいカーボンが残ってそうなら筆でカーボン部分
に塗ってカーボン落としに使えたりもします。
エンジンの塗装部に剥がし材が付くと本来の用途で塗装を剥がしてしまうのでご注意を。
綺麗にしたピストンヘッドや燃焼室の肌が、変に荒れてて凸凹してたりするとデトネーションが起
きてて溶けてたりかもしれません。
ピストンの頭の端の肩の部分が溶けてたりしたらピストンの棚落ちってのです。
この類が出てたら異常が出てますので、点検としては要注意な場所です。




シリンダー内面とピストン側面、リング側面は、縦向きの傷有無の点検。
爪が掛かるほどの大きな縦傷は、抱き付とか焼き付きとかしてます。
稀にエアクリーナー無しの直キャブで使ってて、ゴミを吸い込んでそれが噛んで綺麗な傷がつい
てる様な事もあります。
程度が酷いとそのまま組んでもろくな事になりませんので、リプレースのシリンダーピストンキット
やボアアップキットに組み直した方が吉です。

綺麗な縦傷じゃなく、広い面で当たって変色して減っている様な場合もあります。
主にイン側アウト側のピストン下部。
当たりがきついってやつで、普通にこの部分が摩耗している事もあります。
あまり酷いケースだと、ピストンピンにガタが出てて前後方向の首振りが大きくて当たりが酷いケ
ースもあります。
もちろん広い面で焼付いたりしてる場合もあって、つるつるした面になってるならあたりがきつい
だけです。



シリンダ内壁に、ハッチではなく綺麗な真横向きの筋が入ってる場合もあります。
普通に動いてるバイクの場合はこの真横の筋が付くことはありませんが、古いバイクで長年放
置車だった場合、鉄シリンダーとピストンリングの接触面が錆びてそれが動いて錆がとれ、そこ
が筋になって残ってるケースです。
この場合、シリンダー内壁の他の部分も当然錆びてたケースもあるので、シリンダーの内壁は綺
麗な状態じゃないかもしれません。
ただ2stの場合、ポートに残った汚れなどもウェットな油っ気が多かったりもするので、シリンダー
内壁の油っ気が抜けて錆びてだとかなり長期間放置の状態になりますから、あちこちさらに点検
した方が良いと思います。



とりあえずこんな所が、サービスマニュアルなどにはあまり書いてない経年劣化の変化や古いバ
イク特有で出ている様な物だと思います。

ま、古くて状態も調子も悪いバイクの場合、ピストンリングが折れてるとかピストン下部が割れて
無くなってるとか、ばらされてて組み付けが間違ってるとかピストンピンクリップが付いてなかった
とか、そんな物を経験してる人も居るみたいなので、開けてみての結果はケースバイケース。
完全に圧縮が抜けてるとか噛みこんで回らなくなってたりしない限り、調子が悪いまま頑張って
回ってしまったりする事もあります。

各種摩耗の限界やガタなどの点検数値はサービスマニュアルを参照。
なんにしても標準はこれ次第です。

古いバイクで部品もまったく無いとなったら、減りやガタがあってもだましだまし使うとか、最近の
摩耗を少し太らせることもできる加工をお願いするとかしかないですかね。
ヨーロッパ製のリプレースやボアアップのシリンダーキットなどの腰上が、今でも数多く入手でき
るMB系はかなり恵まれてます。